肛門疾患の主な手術法(痔核以外)
裂肛(切れ痔)
急性裂肛で手術が必要になることはありません。
しかし、裂肛を繰り返して肛門が狭くなり、生活習慣の改善や薬物療法でよくならない場合は手術の適応となります。
用指的肛門拡張術
用指的にすこしずつ狭くなった肛門を広げていく方法です。
術者の感覚によるところが大きいですが、傷は残らず簡便に行えます。
裂肛切除術
裂肛の部分や肛門ポリープ、見張りいぼなどをあわせて切除します。
側方内肛門括約筋切開術(LIS)
内肛門括約筋の一部を切開し、肛門を広げる方法です。
肛門皮弁移動術(SSG)
潰瘍になっている部分を取り除き、正常な皮膚で傷を覆う方法です。
肛門周囲膿瘍
診断がつけば、速やかに切開してうみを出す手術をするのが原則です。
切開排膿術
浅い部位の膿瘍に対しては局所麻酔で可能なこともありますが、深い位置にあったり、いたみが強い場合は、仙骨硬膜外麻酔を行って切開することもあります。
およそ1cm程度皮膚を切ってうみの出口を作ることで症状は急速に改善します。
痔ろう(あな痔)
放置することで肛門周囲膿瘍を繰り返したり、まれに悪性化を引き起こす原因になることもあり、自然治癒もまれなため、基本的に手術の適応となります。
ろう管開放術
ろう管を全長にわたって切開し開放する方法です。基本的な術式ですが、ろう管の一部は残ります。
ろう管切除術
ろう管のすべてを取り除く術式です。根治性は高いものの、筋肉の損傷も生じます。
痔ろう結紮療法(シートン法)
ろう管にヒモや輪ゴムを通して、徐々に時間をかけてろう管を切り開く方法です。
筋肉の損傷が少ない反面、切れるまでに数カ月の時間がかかります。
括約筋温存術
前側方の痔ろうに対して、一部のろう管が残ることを許容して、できるだけ肛門括約筋を温存する方法です。