肛門の病気
肛門専門外来
肛門の痛み、かゆみ、出血、脱肛、残便感、違和感などの症状がある方を松島病院大腸肛門病センターでの高度な診療の経験に基づいて診察いたします。
肛門の診察を受けるは恥ずかしく、受診しにくいと思われがちです。
しかし、痔という病気はほとんどの人が多かれ少なかれ罹患している一般的な病気です。
まったく恥ずかしいことはありませんのでお気軽にご相談ください。
初診受付時、肛門科で受診されたとしても、何科で受診されるか、他の患者様に知られることはありません。
診察方法
体位
ズボンやスカートは脱がずに、そのまま診察台にあがっていただき、ひざを抱えるようにして横向きになった状態で、指での肛門直腸診と直腸肛門鏡による診察を行います。
診察時間は30秒ぐらいです。
肛門の病気 痔とは?
肛門の病気のことを痔という文字であらわしますが、主には、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)の3つのことを指します。
そのほかにも、おしりにはいろいろな病気が隠れている可能性があります。
痔核(いぼ痔)
痔核(いぼ痔)は、肛門にいぼ状の腫れができている状態のことをいいます。
いぼのできる場所が肛門の奥の方か、出口に近い方かによって「内痔核」、「外痔核」とにわけられます。
痔核(いぼ痔)は、肛門管の静脈瘤と考える静脈瘤説と肛門管の組織がのびておこる肛門クッション滑脱説があります。
誘因として、排便時の努責、長時間トイレに座る習慣、重いものを扱う職業、長時間座位でいる仕事、非ベジタリアンの食生活などがあげられています。
内痔核(いぼ痔)によくある症状
- 排便時の出血
- 肛門からいぼ状の脱出物があり、はれている
- 分泌物がある
- 痛みはないことが多い
- 特殊な病態;嵌頓痔核
外痔核(いぼ痔)によくある症状
- 肛門の外に脱出物を感じる
- 押し込んでもすぐ出てきてしまう
- おしりを拭くときに気になる
- 特殊な病態;血栓性外痔核 激しい痛みがある
裂肛(切れ痔)について
裂肛(切れ痔)は、肛門の出口付近の皮膚がたてに切れている状態のことをいいます。
硬い太い便がでたときや排便時間が長い方に多く見られ、下痢が続くと治りにくくなるといわれています。
20~40歳代の女性に多く見られるのも特徴です。
裂肛(切れ痔)の主な症状
- 排便時に痛んだり、出血したりする
- 便秘した時や硬い便をしたときに症状がでる
慢性化すると
- 排便時の強い痛みが強くなり、便意を我慢するとさらに便秘が悪化して悪循環に陥ります。
- 同じ場所が何度も切れるとキズが深くなり、潰瘍になる
- 肛門の外側に見張りいぼが、内側に肛門ポリープができる。
- 繰り返すと、肛門狭窄をきたし、便が細くなり、さらに裂肛を形成しやすくなる。
裂肛の治療
- ほとんどの方は薬でよくなります。
- 予防には便秘対策、排便コントロールが基本です。
- 手術適応
- 慢性化して狭窄を認めるもの、肛門括約筋の緊張が強度で排便時・排便後の疼痛が激しいものは拡張術を行います。
- 見張りいぼ・肛門ポリープを認める場合は切除を行います。
痔ろう(あな痔)について
痔ろう(あな痔)は、肛門の中と肛門の外の皮膚をつなぐトンネル(瘻管)ができる痔です。
その前段階として肛門の周りにうみのたまりができることを肛門周囲膿瘍とよび、多くの場合この状態をへて痔ろうとなります。
肛門腺といわれる組織に細菌がはいりこみ感染をきたすことが原因といわれています。
痔ろう(あな痔)の主な症状
- 肛門の周囲が赤く腫れて痛みがでる
- 発熱する
- 痛くてイスに座れない
- トイレットペーパーや下着に膿が付く
- おしりに固いしこりをふれる。
大腸がん
おしりから血が出たり、痛みがある場合、大腸がんが隠れていている可能性があります。また、奥の方にあるがんの影響で、便秘になったり、下痢を繰り返し、そのせいでおしりの病気が悪化していることも考えられます。おしりの治療を行う前に、まず大腸カメラをしてほかに病気が隠れていないか調べてみるのも大切です。
直腸脱について
直腸(腸の一部)が肛門から脱出してくる状態をいいます。
強く長いいきみが引き金となるとされ、排便時間が長いことや強くいきむ習慣が関係しているといわれています。
高齢女性に多くみられます。
症状
- 肛門から柔らかいものがでている
- 残便感や便漏れがある。
- 下っ腹に違和感がある
- 尿がだしづらい。
肛門のかゆみ
肛門そうよう症
肛門周囲に掻いたりこすったりしてできた以外の発疹がなくかゆみのあるものをいい、かゆみの原因のほとんどがこれにあたります。
様々な程度のかゆみや痛みを伴い、皮膚は、しろくなる、黒くなる、むくむ、ひびわれる、かき傷、ぶ厚くなるといった状態をしめします。
原因として便通異常やきれいにしすぎることがあげられます。
治療は、排便コントロール、ステロイド外用剤とともに、正しいおしりのケアを行うことがあげられます。
肛門そうよう症以外の病気
- 皮膚真菌症(カンジダや白癬など)
- かぶれ(ナプキン・外用剤・消毒薬・おしりふきなど)
- 皮膚疾患
- アレルギー疾患;アトピー性皮膚炎、
- 感染性疾患;乾癬、尖圭コンジローマ、疥癬、
- 腫瘍性疾患;パジェット病、ボーエン病、有棘細胞癌、悪性黒色腫、肛門癌、
- その他の皮膚疾患;硬化性萎縮性苔癬、皮脂欠乏性湿疹など)
- ぎょう虫症
- 痔疾患(脱肛、痔瘻、裂肛)