胆嚢結石症
胆嚢結石症とは
現在、日本人で胆石をもっている方の割合は正確にはわかっていませんが、近年、危険因子である肥満人口の増加とともにふえていると考えられます。
胆石ができる医学的な原因は、その結石の種類によって違うといわれています。もっとも代表的なコレステロール胆石ができる理由としては、胆汁(肝臓でつくられ胆道を通って十二指腸に至り、主に脂肪分の分解に関与する)中のコレステロールの過飽和や胆嚢収縮能の低下などが報告されています。その原因として、カロリーや動物性脂肪の過剰摂取、高脂血症、ホルモン補充療法、急激な体重減少、ダイエット、肥満などがあげられています。また、ビリルビンカルシウム石は胆道感染、黒色石はビリルビンの過剰があげられます。
なりやすい人はどんな人?
一般的に、胆石形成の危険因子は、40代以上、女性、肥満、白人、妊娠や出産が強い危険因子とされています。また、脂質異常症、消化管手術歴、ダイエットなどもリスクを上昇させます。
症状は?
胆石をもっているだけでは無症状であることが多いのですが、1年間のうちで1~2%の確率で重篤な症状を発症します。
症状としては、右季肋部痛(右上腹部の痛み)や違和感、心窩部痛(みぞおちの痛み)や悪心・嘔吐があげられ、急性胆嚢炎を発症すると発熱を伴うようになります。
診断は?
診断には、血液検査、腹部超音波をまず行い、必要に応じて、腹部CT、MRCP(MRIを用いた胆道・膵臓の検査)、EUS(内視鏡に超音波装置をつけた機械を用いたより詳細な超音波検査)などを追加します。
治療は?
多くの方が無症状であり、その場合、特に治療の必要はありません。しかし、3cm以上の大きな胆石、10mm以上のポリープを同時に認める場合、陶器様胆嚢、胆嚢壁の肥厚、充満結石などを認める場合は、胆のうがんのリスクが高いといわれており、症状がなくても手術が必要になることもあります。これらは腹部超音波検査で診断することができます。
まとめ
胆嚢結石は、無症状である場合が多く、即座に手術の適応となることは多くありません。有症状化・急性胆嚢炎の発症・胆のうがんの発生などを考え、腹部超音波検査などで定期的に経過観察していくことが必要です。